「“い”は“うぃ”」「歌う前に“ん”を入れる」モー娘。楽曲つんく節に「たしかに」「やってる」の声~ハロプロ歌唱の秘密~
「日本の未来は(ん)Wow Wow Wow Wow」——このフレーズを聞くだけで、体が動き出すファンも多いでしょう。モーニング娘。の楽曲、ひいてはハロー!プロジェクトの楽曲全てに共通する、音楽プロデューサー・つんく♂さん特有の歌唱テクニック、通称「つんく節」が、テレビ番組「ぽかぽか」で大きな話題となりました。
元モーニング娘。の飯田圭織さんと、現役メンバーの牧野真莉愛さん、山崎愛生さんが明かしたその秘密は、「“い”は“うぃ”」と歌うこと、そして「歌う前に“ん”を入れる」こと。この記事では、このつんく節がなぜ採用され、モーニング娘。のパフォーマンスにどのような影響を与えているのかを、ハロプロファンならではの視点で深掘りしていきます。
「“い”は“うぃ”」の法則:リズムを支配するつんく♂の魔法💫
つんく♂さんが手掛けるモーニング娘。の楽曲で、「“い”を“うぃ”」のように歌うという法則は、長年のハロプロファンにとっては半ば常識かもしれません。しかし、その背後にある音楽的な意図については、改めて知ることで感動が増します。
「うぃ」でリズム感が生まれる理由
飯田圭織さんは、この歌い方について「つんく♂さんはリズムを大事にされる。裏を大事にするので、“うぃって”ってすると1個裏が入るのでリズム感が出る」という指導があったことを明かしています。これは非常に重要なポイントです。
- 言葉の音節とリズム:日本語の「い」という音は、発音の際に口の形が固定されやすく、単音として捉えられがちです。
- 「うぃ」の導入:しかし、「うぃ」のように「う」の音(口をすぼめる動き)をわずかに挟むことで、次の「い」に向かう前に子音や準備の動きが生まれ、結果として「裏の拍」のような微細なアタック(アクセント)が加わります。
山崎愛生さんが例に挙げた「ザ☆ピ~ス!」の「投票行って外食する」を「投票うぃって」と歌うというのも、まさにこの原理です。この微妙な「タメ」や「アタック」が、モーニング娘。の楽曲が持つ強烈なグルーヴ感と疾走感を生み出しているのです。
「歌う前に“ん”を入れる」:ユニゾンを完璧にする技術📢
もう一つのつんく節の秘密は、「歌う前に“ん”を入れる」というテクニックです。牧野真莉愛さんは、代表曲「LOVEマシーン」のサビ「日本の未来は」の前に「ん」を入れると具体的に説明しています。これは、飯田さんが言及した「裏を大事にする」という原理と同じく、非常に合理的な理由があります。
「ん」の役割:全員を揃える魔法の合図
飯田圭織さんは、「“ん”が入ることで、全員がそろう。歌もダンスも揃いやすくなる」と解説しています。この「ん」は、音楽的にはプリパレーション(準備)の役割を果たします。
- 呼吸とタイミング:歌い出しの直前に「ん」という音を入れることで、自然と呼吸(ブレス)が整えられ、声を出すためのタイミングをメンバー全員で共有できます。
- グルーヴの強化:さらに、この「ん」は微小なアタック音として、楽曲のリズムに組み込まれます。田中れいなさんが参加した「LOVEマシーン」のパフォーマンスで、ユニゾンの中でも「ン ウォウ ン ウォウ」とはっきり歌っていたというコメントがあるように、この「ん」こそが、モーニング娘。のハロプロ歌唱の代名詞的な技術となっているのです。
この説明に、共演者から「たしかに」「やってる」という声が上がったのは、このテクニックがモーニング娘。の楽曲に深く根付いている証拠であり、ファン以外のリスナーにも無意識のうちに感じ取られているからでしょう。
つんく♂音楽の奥深さ:「バカ」とは言わせない天才的プロデュース🧠
つんく♂さんのプロデュースは、時に「頭が悪すぎる」といった批判的なコメントも見受けられますが、その音楽的な構築力と、アイドルグループのパフォーマンスを最大限に引き出す手法は、まさに天才的です。
「“い”も“うぃ”も同じ一音だこのバカたれ!」という意見は、音節の表面だけを見ていますが、つんく♂さんは、日本語の持つ音の特性を理解し、あえて「うぃ」や「ん」といった微細な音を仕込むことで、8ビートや裏拍を強調し、グルーヴを生み出すことに成功しています。
この「つんく節」は、単なる歌い方のクセではなく、モーニング娘。のメンバーが高度なユニゾンとダンスを両立させるための、音楽的・技術的な基盤となっているのです。この技術を継承している牧野真莉愛さんや山崎愛生さんのような現役メンバーによって、ハロプロ歌唱の伝統はこれからも守られていくでしょう。
私たちがモーニング娘。の楽曲を聴いて「高まる!」と感じる、あの独特のノリや一体感は、つんく♂さんが仕込んだこの「“い”は“うぃ”」と「歌う前に“ん”を入れる」という、緻密なテクニックの積み重ねによって生み出されているのです。







