ハロー！プロジェクトへの楽曲提供でも知られるロックアーティスト、**中島卓偉**さん。彼が音楽ナタリーのインタビューで語った「バンドサウンドでロックをやるソロアーティストって、当時も今もほとんどいない」という発言が、ロックファンの間で大きな議論を呼んでいます。

**中島卓偉**さんは1999年10月にメジャーデビューされましたが、当時の状況について「レコード会社からは『売りにくい』と言われ、事務所からも『同じようなアーティストがいないから、どうプロモーションしたらいいかわからない』と言われる」という苦悩を吐露しています。今回は、彼のこの発言の真意と、日本のロックシーンにおける「ソロアーティスト」の立ち位置について考察していきましょう。

中島卓偉さんが語る「ソロロック」の難しさ

**中島卓偉**さんがデビューした1990年代後半は、バンドブームが一段落し、様々なジャンルが乱立していた時代です。彼は、一貫して「バンドサウンドでゴリゴリのロックをやるソロアーティスト」というスタイルを貫いてきましたが、これが当時の音楽業界では異端だったと語っています。

「売りにくい」という評価の背景

• **バンドとソロの境界線**: 「そりゃバンドでやれって話」「バンドでソロってのが矛盾だからな」というコメントにあるように、ロックは元来バンドで表現されることが主流でした。ソロでロックをやる場合、どうしても「バックバンドを従えたシンガー」という見方をされやすく、バンドの持つ「一体感」や「ドラマ性」を売りにしにくい側面があったと考えられます。
• **プロモーションの型がない**: 彼の音楽は、当時のJ-POPのメインストリームとは異なっていたため、「どうプロモーションしたらいいかわからない」と事務所側も戸惑ったようです。これは、彼が「同系統のアーティストがいない」という孤高の存在であったことを示しています。

当時と今、ソロロックアーティストの検証

**中島卓偉**さんの発言に対し、コメント欄では「永ちゃんは？」「吉井和哉とか」といった反論や、「今でいうとHYDEは結構ゴリゴリなことをソロでやってる」といった現代の例が挙げられています。彼の発言の「ほとんどいない」という言葉は、彼が目指した「**中島卓偉**的なロック」という狭い枠組みでの話であると解釈できます。

1990年代〜2000年代初頭の主なソロアーティスト

コメントで挙がっているアーティストを見てみると、それぞれ活動のスタンスが異なります。

• **矢沢永吉さん（永ちゃん）**: 日本のロックの頂点に立つソロアーティストですが、その活動はバンド形態でありつつも、カリスマ性や生き様を含めた独自のジャンルを確立しています。
• **吉井和哉さん**: THE YELLOW MONKEY解散後、ソロとしてロックを追求されていますが、その音楽性はバンド時代の延長線上にあり、ファンには受け入れられやすかったでしょう。
• **西川貴教さん**: T.M.Revolutionとしての活動は、ロックサウンドではあるものの、その系譜はTM NETWORK寄りであり、「ロックといっていいのか」という議論が起こることも頷けます。
• **女性ソロ**: 久松史奈さん、相川七瀬さん、そして浜田麻里さんなど、実力派の女性ロックシンガーも存在します。

しかし、**中島卓偉**さんが追求した「泥臭く、ゴリゴリのバンドサウンドで、自分で作詞作曲もする、王道的なソロロックアーティスト」という定義で見ると、確かにその数は限られていたと言えるかもしれません。特に、**ハロプロ**楽曲の提供者として知られる前の、彼の「尖っていた」時期の存在感は、唯一無二だったのでしょう。

現代の音楽シーンでの「ソロ」と「ロック」

現代では、**Ado**さんのような、歌い手としてのソロアーティストが、アニメソングなどでロックテイストの楽曲を歌い、大ヒットを飛ばしています。しかし、これは「顔を出さない」「ボカロPとの共作」という新たなスタイルであり、**中島卓偉**さんが追求した「生身のソロロックアーティスト」とは、また異なる系譜に位置します。

**中島卓偉**さんの発言は、彼自身のアーティストとしての哲学と、時代との闘いを物語っています。ハロプロの楽曲を通じて、彼のロック魂が広く知られるようになった今、彼のアーティストとしてのキャリアは、あの時の「売りにくい」という評価を覆したと言えるでしょう。彼のロックへの情熱が、これからも**Juice=Juice**をはじめとする**ハロプロ**グループに、素晴らしい楽曲を提供し続けることを期待しています。