つばきファクトリー・土居楓奏イラストを巡る論争：似顔絵の「個性」と「デリカシー」の境界線

漫画家のみずしな孝之先生が毎年恒例で行っている「ハロプロイラストカウントダウン」で、つばきファクトリーのメンバー土居楓奏さんの似顔絵イラストが公開されました。これに対し、一部のファンから「似てないぞ！描きなおせ」という、非常に厳しい意見が飛び出し、インターネット上でちょっとした論争となっています。なぜ、このイラストはファンの間で賛否両論を呼んだのでしょうか。今回は、似顔絵における「写実性」と「個性」、そしてファンが求める表現のあり方について考えてみます。

みずしな先生のイラストの特徴とファンの反応

みずしな先生（通称：しなっち）のイラストは、デフォルメを効かせ、対象の特徴を誇張するタッチが特徴的です。今回の土居楓奏さんのイラストも、その個性的な画風で描かれていました。しかし、この個性的な表現が、ファンによって大きく評価が分かれることになりました。

【肯定的な意見】

• 「似てるw」
• 「似てる写実性よりも対象の特徴を際立たせるタッチのイラストなんだからこれでよい」
• 「ヲタはそういう絵を見たい誰が誰だかわからないような金太郎飴いらんのよ」

【否定的な意見】

• 「似てないぞ！描きなおせ」
• 「てか飽きたグラフィカルな絵柄にしろよ」
• 「しなっち漫画何冊か持ってる程度には好きだけどハロに噛んでくる時は好きじゃないわ」

肯定派は、写実性よりも「個性のクッキリとした書き分け」を重視しており、先生のタッチが土居楓奏さんの持つ元気の良さ（「ジャンプさせることで土居の元気の良さを表しているんじゃないのか？」）を表現していると解釈しています。一方で否定派は、似顔絵としての「似てなさ」や、絵柄そのものへの不満を表明しているようです。

アイドルを描く上での「デリカシー」の問題

特に深く議論されたのは、「デリカシー」の問題です。一部のファンは、「色々気にしがちな年齢の女の子を描くにしてはデリカシーなさすぎる」「特徴を誇張したような似顔絵方式で描かれるの嬉しい女あまりいないだろ」と指摘しています。

これは、アイドルという職業の性質上、描かれた本人がそのイラストを目にした時にどう感じるか、という視点です。「本人が目にして不快な思いをするかもしれない可能性があってもそういう絵を見たいのか」という問いかけは、ファンがイラストレーターに求める配慮のレベルについて一石を投じるものです。

また、「目と口までが間延びしてるからそれを隠すために口をあけて頬骨を目立たせてる」といった、イラストの構図を詳細に分析し、それがアイドルの外見的な特徴を不本意な形で強調しているのではないか、と懸念する声も見られました。

つばきファクトリーとハロプロの「顔」としてのイラスト

みずしな先生のイラストカウントダウンは、ハロプロの年末の風物詩の一つであり、ファンの間では大きな話題となります。そのため、つばきファクトリーのメンバーである土居楓奏さんが、どのような「顔」として描かれるかは、グループのイメージにも関わる問題として捉えられがちです。

イラストレーターが愛とリスペクトを持って描いていることは前提としつつも、受け手であるファン、そして最も重要な描かれた本人に不快な思いをさせない配慮は、今後もクリエイターとファンの間で議論され続けるテーマでしょう。純粋な二次創作であれば問題になりにくいことも、公式に近い立場のクリエイターが手掛けることで、より厳しい目に晒されることになります。土居楓奏さんのこれからの成長と共に、彼女が「似顔絵」という形でどう表現されていくのか、注目していきたいところです。